【序:美しさの質が変わる時】
「かわいさ」の先にある、「深み」という境地。
仔犬の頃の、弾けるような愛らしさは誰もが笑顔になります。しかし、10年、15年と時を重ねたシニア犬がふと見せる表情には、それとは全く次元の異なる美しさが宿ります。
呼びかけても、すぐに反応しないかもしれない。 動きはゆっくりで、寝ている時間も長いかもしれない。
しかし、その静寂の中に漂う独特の空気感。 ただ座っているだけで周囲を圧倒するような、静かなる威厳。 それは、長い年月を生き抜き、家族との愛を積み重ねてきた者にしか出せない「生命の重み」そのものです。
多くの飼い主様は、愛犬の老いに戸惑いを感じるかもしれません。 しかし私は、この「成熟した佇まい(たたずまい)」こそが、犬としての、そして一つの命としての「完成形」であると考えています。
【Mission:写真家の使命】
見えない「空気」を写し撮る。
私、水野謙治には、フォトグラファーとしての明確な使命があります。 それは、表面的な美しさだけでなく、被写体が長い人生(犬生)をかけて纏(まと)ってきた「雰囲気」や「魂」を、写真という一枚の画に定着させることです。
これは、私がライフワークとして取り組んでいる人間のポートレート撮影「Excellence Portrait」でも同じです。 若者の肌の張りも美しいですが、人生の酸いも甘いも噛み分けたシニアの表情には、一冊の小説のような奥行きがあります。
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